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高知市のミカドアゲハ
およびその生息地



所在地:高知県高知市天神町・筆山町・塩屋崎町
指定の経緯:
 昭和18年(1943) 8月24日天然記念物指定、27年(1952) 3月29日名称変更・特別天然記念物指定(基準:動物(2))


高知市のミカドアゲハ
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 ミカドアゲハはアゲハチョウ科に属し、アジアの熱帯から亜熱帯に広く分布していて、日本はその北限。紀伊半島の東部から南部・山口県・四国南部・九州で見られるが、個体数は多くない。

 高知県では海岸線沿いに生息地が点在しており、とくに高知市で発生数が多く、潮江(うしおえ)天満宮境内・要法寺境内・潮江中学校校庭の3か所で生息地が指定されている。

 羽の形(縦長)や大きさ(開長7cm)がアオスジアゲハに似た大型の美しいチョウで、尾状突起はない。地色は黒色、表面に青みがかった白色ないし青色の帯と斑紋があり、 裏面の斑紋に赤斑型と黄斑型がある。雄だけは、後ろ羽の内縁が内側にたたまれたように折れ返り、その中に淡い茶色の長い毛が多く生えている。

 5月中旬から6月上旬にかけて、オガタマノキ・タイサンボクなどモクレン科の木の新芽に淡黄色の卵を1個ずつ産み付ける。1週間で孵化した幼虫は体長2mmで、 若齢期は暗褐色。新芽を食べて育ち、脱皮して大きくなるにつれて色がうすくなる。終齢は濃緑色になり、胸の背中側に黄色の輪に囲まれた黒い目玉模様がある。

 1か月後に食樹や付近の常緑広葉樹の葉裏でさなぎになり、一部は7月上旬から8月に成虫(夏型)に、ほとんどはそのまま休眠して翌年4月下旬から5月に成虫(春型)になる。


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