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黄銅のテントウムシの灰皿

(イタリア)


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 これも前回紹介の「蝿」と同じく腹部が灰皿になっている。シンプルなものとゴテゴテ装飾の2種類が発見されたことも「蝿」に似ている。 シンプルな方は1991年の夏、成田空港の売店で発見したものでイタリア製の刻字がある。ゴテゴテの方はその数年後、中国は昆明市内の骨董街での採集品。 ススを塗り貴石をあしらうなど中国好みの加工が施されているものの、本体は同じイタリア製かまたはそのコピーと思われる。体長はともに約12cm。

 ヨーロッパの人びとは概して虫に無関心だが、テントウムシは縁起のいい虫とされ、数少ない”関心のある虫”のひとつになっている。 そのため、この虫が飛び立った方向から娘たちの恋人が現れるとか、危険を知らせる虫とか、斑紋の数で収穫を予告するとか、死者の化身で殺すと不幸になるとか……、 国それぞれにテントウムシに関する伝承も数多い。このオブジェが作られたのもこうした背景と無縁ではなさそうである。それにしては何とも可愛げのないテントウムシであることか!  中国での装飾加工などはむしろ恐ろしげですらある。



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